高効率エネルギー回収・利用技術の開発(新ER)

高効率エネルギー回収・利用技術開発(略称; 新ER: Energy Recovery)では、材料再生プロセス(新MR)及び石油化学原料化(新CR)に適合できない廃プラスチックを燃焼させ、この焼却施設での発電効率かつ稼働率を向上させるとともに、200℃以下の低温排熱を利用して冷熱変換する技術を開発しています。廃プラスチックを含む産業廃棄物の焼却施設の排ガスは、高温かつHClやSOx等の腐食性ガスおよび比較的融点の低い灰粒子を高濃度に含有している、いわゆる高温ダーティガスであり、伝熱管表面の腐食とともにその表面に多くの燃焼灰が付着します。これらに対し、腐食に耐え得るとともに燃焼灰が付着し難い材料を開発し、それを伝熱管表面にコーティングすることにより、焼却施設の発電効率と稼働率の向上を目指します。一方、産業廃棄物の焼却施設は比較的小規模なものが多く、従来、その低温排熱はほとんど有効利用されていません。また、日本においては、物流業界等において冷熱の需要が高く、この産業廃棄物焼却施設における未利用な排熱から熱駆動型吸収式冷凍機を用いて冷熱媒体を製造することができれば、物流業界等の冷熱需要に貢献できます。

上述の2つの技術を開発し、実用化させることにより、再生処理が困難なプラスチックを高効率に回収して、総合エネルギー利用効率を向上させます。このような目的を達成するために、本プロジェクトでは大きく分けて以下の3つの研究開発項目を実施しています。

1.高効率・高耐久な伝熱管材料及び表面改質技術の開発
高温かつ腐食性ガスならびに低融点灰粒子を含有する過酷な環境下においても、高耐食性及び難灰付着性を有する金属系及びセラミック系伝熱管材料を開発します。熱交換器内における伝熱管表面への燃焼灰の付着は、付着灰中に含まれる塩化物、アルカリ金属およびアルカリ土類金属化合物等の低融点化合物によって伝熱管材料の腐食を促進し、かつ伝熱阻害を引き起こします。よって、耐腐食性とともに難灰付着性の表面特性を有する伝熱管材料の開発が必要となります。このような特性を有する材料を伝熱管に適用できれば、産業廃棄物焼却施設において蒸気の高温化による発電効率の向上、さらには連続運転の長期化や伝熱阻害の解消による稼働率の向上が期待されます。=”” 低コスト及び耐久性を確保しながら灰付着を低減させるために、前記開発材料の実機への応用技術の最適化を図ります。具体的には、表面改質層の複層化や高度化を検討し、検討・開発した材料・技術を実機条件下で評価します。

2.低温排熱から冷熱を製造するために必要な熱交換技術の開発
● 吸収式冷凍機は熱を直接利用して冷熱を製造できますが、従来は作動流体に臭化リチウム水溶液を利用しており、また冷媒が水であるために氷点下冷熱を製造することができません。本研究では、作動流体にアルコールを添加し、さらに冷媒をアルコール水溶液にすることで、200℃以下の低温排熱から氷点下冷熱を製造可能な吸収式冷凍装置を開発します。
● 氷スラリーは、細かい氷粒子と水を混合した冷熱の蓄熱・輸送媒体です。氷分率を高くすれば冷熱の蓄熱密度は向上しますが、氷粒子の凝集によって流動性が悪くなることが知られています。本研究では、氷スラリーの凝集抑制技術を組み込んだ、氷点下冷熱で氷スラリーを製造できる製氷装置を開発し、氷スラリーの流動性を維持する技術の実現を目指します。
● 低温排熱が発生する産業廃棄物処理施設と冷熱需要地が離れている場合、あるいは熱発生と冷熱需要に時間的な変動がある場合に熱の有効利用が難しくなります。本研究では、廃棄物処理施設と冷熱需要地に専用の吸着剤貯槽を備え、両者間を専用の輸送用コンテナを使って大量に吸着剤を輸送して総合熱効率を高めることを目的とし、移動層や流動層を利用した吸着剤連続乾燥装置を開発します。

3.総合熱利用システムの評価技術の開発
熱供給側の熱条件(温度、熱量等)と熱需要側のそれとが合致しているか否か等の熱マネジメントを行うために必要となる冷熱利用システムの総合評価技術を開発します。物流業界や空調等の冷熱需要の調査と、一廃・産廃処理施設の余熱利用状況の調査を行います。サブツールから構成される、冷熱利用システムの総合評価モデルをツール化します。さらに、事例検討の対象を選定し、試作したシステム評価ツールによって、熱マネジメントを実施します。

参画機関リスト
■ 東海国立大学機構名古屋大学(環境・エネルギー工学研究グループ)
https://www.mech.nagoya-u.ac.jp/naruse/
■ 産業技術総合研究所(セラミック機構部材グループ)
https://unit.aist.go.jp/mmri/ja/groups/cestcom.html
■ 東北発電工業株式会社 http://www.tohatu.co.jp/
■ 八戸工業大学 https://www.mech.hi-tech.ac.jp/?page_id=262
■ 東京電機大学
■ 中央大学 http://www.human.chuo-u.ac.jp/teacher/3275
■ 高砂熱学工業株式会社 https://www.tte-net.com/index.html