高度選別システム開発

高度選別システム開発
[新SRプロジェクト]

プロジェクトの概要

本プロジェクトでは、NEDO基本計画のアウトカム目標である、2030年までに、これまで国内で再資源化されていなかった廃プラに対し、新MR:86万t/年、新CR:87万t/年および新ER:108万t/年を実現する上で、必要不可欠となる新規選別技術(略称,新SR: Sorting for Recycling)を開発する。
廃プラの半数近くを占める容器包装プラは、他に比べ異物の混入割合が少なく、一般廃棄物での選別実績も高い。単一種収集の推進や複合材などの識別には課題はあるが、これらは動脈-静脈間の情報連携により改善が期待できる。一方、残りの半分の多くは、多種の廃プラや、廃プラ以外の素材が混在した混合物である。リサイクル工場での呼び名や、工場によってその組成は様々であるが、選別技術から見た対象物の共通性(選別特性)から、本研究ではこれらを以下の2種に分類した。
雑品プラ:各種製造工程から排出され、各種プラスチックを中心に異素材が混在した粗粒の廃プラ
製品別プラ:各種製品を破砕・選別し、金属回収後、金属、ガラス、土砂など他成分が混在した残渣
前者は現在、手作業により選別し、低級なエネルギー回収などにも利用されているが、後者の多くは単純焼却・埋立処理がなされている。いずれも逆有償で処分されるケースが多く、処理コストの増大を招いていることから、全国のリサイクル工場ではこれらを無償あるいは有価転換する努力が行われてきた。しかし、従来の選別技術では回収物の品質が中途半端で国内で引き取り手がないこと、海外への輸出が困難となっていることから、多くは有効利用できていない。現在でも、一般廃棄物の容器包装プラ等では、中間処理として破砕・分級、光学ソータ、水比重選別等を多段に配置し、さらに手選別を併用しているが、選別工程だけで概ね30円/kg以上の処理コストを要しており、補助金(メーカ・消費者負担等)なしでは成立しない。残渣として発生した製品別プラなのか、逆有償で受けた雑品プラなのか、その後の原料利用が有償・無償・逆有償かによっても事情は異なるが、選別工程のランニングコストとしては、概ね10円/kg以下で処理しなければ、リサイクル工場の経済合理性が成立しない。
実施者らは、現在、高品位小型家電の選別システム全体を無人化し、貴金属・レアメタルの高度回収と手作業コストの削減を両立する開発を手掛けている。しかしながら、数百円/kgで売却できる高品位小家電からの回収物と違い、同じ思想の高度化を廃プラに適用することはできない。廃プラでは、従来選別工程に装置をピンポイントに導入することで、多様性と低コスト化を実現させることが肝要である。このような観点から、「雑品プラ」に対しては、手作業を大幅に軽減し、低コストで大量処理が可能なフィールドピックアップ型AIソータ(FP型AIソータ)を開発する。また、「製品別プラ」に対しては、多成分同時に高精度な比重選別を実現する、高度比重選別システム(比重選別システム)を開発する(下図参照)。雑品プラを対象としたFP型AIソータは、搬入車輌のマニフェスト情報を活用して動作モードを選択する点や、密集状態にある未破砕の廃棄物を選別対象とする点において、現行のAI選別機とは性格が異なる自動選別システムである。小型・安価なセンサー群で検知した複合データを深層学習AIで解析することで、概ね5cm以上のサイズである雑品プラを一度に少なくとも6種類に分類してピックアップ回収を可能とする。一方、製品別プラの比重選別システムでは、廃プラ洗浄効果が高いジグ選別ベースの湿式法をメインとし、多種素材が混合した概ね5cm以下のサイズの破砕物を対象とする。新たなサイズ・形状基準の構築と、事前整粒による原理的な選別阻害因子の解消により、組成未知の対象物であっても、僅かな比重差で多段階に選別可能なシステムを開発する。これにより、雑品プラ、製品別プラといった低品質な廃プラを、新MR、新CRおよび新ERへの原料として供給することを実現する。

高度選別システム開発 [新SRプロジェクト]

参加研究室・企業リスト

産業技術総合研究所(大木研究室) https://staff.aist.go.jp/t-oki/
[再委託機関]
北海道大学(資源再生工学研究室)  http://mp-er.eng.hokudai.ac.jp/indexjp.htm
産業技術総合研究所(資源価値創生研究グループ)  https://unit.aist.go.jp/env-mri/111resp/ja/index.html
[再委託機関]  
奈良先端科学技術大学院大学(ヒューマンロボティクス研究室)
https://isw3.naist.jp/Contents/Research/ai-01-ja.html
芝浦工業大学(リサイクルデザイン研究室) https://recycledesignsit.com/
近畿大学(分析化学研究室) https://research.kindai.ac.jp/profile/
ja.5630034f59336b90.html
大栄環境株式会社 https://www.dinsgr.co.jp/
富士車輌株式会社 https://www.fujicar.com/